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がんで障害年金を請求したいとお考えの方へ受給のポイントを徹底解説

日本ではがんは2人にひとりがなる可能性がある病気です。
あまりよく知られていませんが、がんは病気の進行や治療の副作用により日常生活や仕事に支障が出た場合、障害年金を受給できる可能性があります。
この記事では、がんで障害年金を申請しようとしている方へ向けて、気をつけるポイントなどをお伝えします。

1 障害年金とは

障害年金とは、病気やケガによって日常生活や仕事に制限が生じた場合に、経済的支援をする公的年金制度です。
等級は1~3級まであり、初診日(がんの症状で初めて病院を受診した日)に加入している公的年金の種類によって障害基礎年金か障害厚生年金かが決まります。
〇 初診日に国民年金に加入・・・障害基礎年金:1級もしくは2級
〇 初診日に厚生年金に加入・・・障害厚生年金:1級から3級

 障害年金を受け取るためには、以下の要件を満たす必要があります。
〇 初診日に公的年金に加入していること
〇 初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの期間において、3分の2以上保険料を納付または免除されていること。または初診日が令和8年4月1日前にある場合については、初診日において65歳未満であり、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの一年間に保険料の未納がないこと。
〇 障害認定日に障害年金を受給できる障害の程度(障害等級)に該当すること

なお20歳未満の方と60歳以上65歳未満で日本国内に在住されている方は、公的年金の加入義務がありません(厚生年金被保険者である場合を除きます) 。よって初診日に年金制度に加入していなくとも、障害年金が支給される場合があります。

2 がんで障害年金が支給される場合

① 認定要領ではがんの障害が、以下の3種類に区分されています。

ア  悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む)によって生じる局所の障害
イ  悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む)による全身の裏弱又は機能の障害
ウ  悪性新生物に対する治療の効果として起こる全身の衰弱又は機能の障害

 アはがんが特定の部位に障害を残した場合となります。食道がんの手術による嚥下機能の障害や抗がん剤終了後の手足のしびれ・関節痛等の後遺症等が該当します。
イはがんが増殖して身体が弱っている場合で、また、ウのように「治療の効果として」との文言が入っていないので、抗がん剤治療等によるものではありません。 例えば、すでに抗がん治療の対象になっておらず、緩和ケアを受けている状態がこの区分に該当します。
ウは抗がん剤治療等の副作用で全身状態が悪化している状態です。つまり、抗がん剤投与した後、 日常生活活動龍力、労働能力が着しく惧なわれた状態のことを言います。実際に症状としてよく現れるのは、金身の倦意感、動悸、息切れ、発熱、吐き気、幅吐、食欲不振、味覚障害、体重減少、易感染性などがあります。これらの症状の程度により等級が決定されます。

② 認定要領には全身状態を示すものとして「一般状態区分表」を設定し、以下の5段階に区分されています。

ア 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
イ 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。例えば、軽い家事、事務など
ウ 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
エ 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
オ 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

アからオの区分を詳しくみると、オはほぼ寝たきりの状態、エは屋外への外出が困難で、日常生活活動が自宅に限られ、日中の50%以上は就床している状態で就労不能と考えられます。ウは軽労働もできない状態であるが、日中の50%以上は起居している状態、イは働くことは可能であるが、就労範囲が限られている状態、アは健常者となります。

③ 認定要領では以上の一般状態区分により等級を例示しています。
1級 一般状態区分表のオに該当するもの
2級 一般状態区分表のエ又はウに該当するもの
3級 一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
ウは2級、3級のいずれの等級例示にも記載されていることから、他の要素(臨床症状や検査成績、治療経過等)によりいずれにも該当する可能性があるということになります。

3 がんによる障害年金の申請のポイント

 ① 医師に症状や状態を正確に伝える
 ② 症状にあった診断書を用意する、症状によっては複数枚
例えば手術をして生じた創部痛や関節痛、手足のしびれなどの症状があるのでしたら、具体的にどの程度しか身体が動かないのか申告するために「肢体の診断書」を2枚目の診断書として提出しましょう。
③ 発症後の状況について病歴就労状況等申立書に具体的に記入
受診していた期間・・・治療内容、医師からの指示、日常生活で困っていたこと等
受診していない期間・・・受診していない理由、自覚症状、日常生活(普段と違うこと)等
 ④ 診断書と受診状況等証明書に矛盾がないか確認する

障害年金は申請してから支払いがあるまで半年近くかかる場合もあります。初診日から1年6か月経っていればいつでも請求できますから、早めにお手続きされることをおすすめします。