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うつ病で「働けない・働くことができない」場合の支援と 障害年金受給のための手引き

うつ病の影響で長期間の就労困難に直面した方にとって、将来への不安は大きいものです。しかし、適切な公的支援制度を知り、活用することが生活の安定や心身の回復につながります。ここでは障害年金の制度概要から生活の支えとなる福祉資源、さらには就労サポートプログラムまで、利用可能な主な社会的支援を具体的に解説します。

1. うつ病で働けなくなったら受けられる社会的サポート

うつ病で働けない状況でも、経済的支援や生活のサポートなど、利用できる社会保障制度が多数あります。自分に合った制度でを利用して安心して療養しましょう。

1-1. 障害年金―精神障害等級に応じた受給制度

障害年金は病気やケガのよって生活や仕事などが制限されるようになった場合に受取ることができる年金です。うつ病などの精神疾患で身体や精神に一定の障害が認められた場合にも受給できます。申請には過去の保険料納付要件を満たすこと、初診日の証明が必要で、障害等級の認定基準に基づき等級が決まります。就労できない期間、障害基礎年金や障害厚生年金の申請が重要な経済的支えとなります。

1-2. 自立支援医療、生活保護等の福祉資源

自立支援医療とは精神疾患の医療費の一部を公費で負担し、自己負担を抑えるもので、多くのうつ病患者が利用しています。
自立支援医療を利用するには、自治体への申請が必要です。
ただ、申請をすれば絶対に適用されるというわけではありません。医療機関で対象の精神疾患と診断されても、医師が「継続的な治療が必要」と判断しない場合は自立支援医療が適用されません。

1-3.生活保護

生活が困窮する場合は生活保護制度を申請可能で、住居や生活費の支援を受けることができます。これらは生活保護は経済的安定の土台となり、治療や復職に向けた安心感を得ることができます。

1-4. 公的手当、就労支援プログラムの紹介

精神又は身体に著しく重度の障害を有し、日常生活において常時特別の介護を必要とする方には特別障害者手当が、また就労支援には障害者雇用枠を活用した職場復帰支援、就労移行支援事業など、多様なプログラムがあります。これらは体調と相談しながら段階的に社会参加を促すもので、働くことが困難な状況から少しずつ復帰を目指す道筋を作ります。

2. 障害年金の請求手きの流れ

障害年金の請求は、必要書類を準備し、所定の手順を踏むことで申請できます。申請から受給までの流れをわかりやすく解説します。

2-1『初診日』を調べる

初診日とは、障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診療を受けた日のことです。(病名が確定した日ではありません。)
どの年金制度に加入していたか、保険料を納めていたかどうかは『初診日』を基準に判定されます。

2-2 「保険料納付要件」を満たしているか確認する

初診日が特定できたら、その前日の時点での保険料の納付状況を確認します。以下のどちらかの要件を満たしていることが必要となります。
(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
これは、年金事務所や街角の年金相談センター、初診日が国民年金加入であれば市区町村の国民年金課で調べてもらうことができます。

2-3 初診日を証明するための書類を揃える

「保険料納付要件」を満たしていることがわかれば、初診日を証明するための書類を揃えます。
原則として、初診の医療機関の医師が作成する「受診状況等証明書」が必要ですが、例外もあります。

(例外)
・先天性の知的障害など、出生日が初診日とされているもの
・初診の病院と、診断書を作成する医療機関が同じ場合

2-4 医師に診断書を書いてもらう

初診日を証明する書類が準備できれば、医師に診断書を依頼します。
診断書を受け取ったら内容を確認します。間違いや記載事項の漏れなどがある場合があるので、訂正や加筆をお願いします。

2-5 病歴・就労状況等申立書を作成する

診断書には記載されない日常生活や仕事の内容などの詳しい内容を記載します。
食事・入浴・外出・対人交流で困っていること、職場でのサポート内容を具体的に記載します。

2-6 年金事務所等に請求書を提出

提出前に診断書と病歴・就労状況等申立書の内容に矛盾がないか確認し、請求書、必要な添付書類を揃え、年金事務所、街角の年金相談センター、初診日が国民年金なら市区町村の年金窓口に提出します。

3ヶ月程度で結果が郵送されます。
受給の場合は、「国民年金・厚生年金保険年金証書」、不支給の場合は、不支給通知が郵送されます。

3 認められない主な原因と具体事例

障害年金を申請しても不支給となるケースは少なくありません。その理由について具体例を交えてわかりやすくご紹介し、請求時の注意点としてください。

3-1. 保険料納付要件を満たしていない

障害年金受給には、初診日の前々月までの公的年金の加入期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること、または初診日の前々月までの1年間に保険料の未納がないことが要件としてあります。
納付状況は自身で年金記録を確認し、未納がないかを事前に把握しましょう。

3-2. 初診日証明が認められない

初診日の特定は受給のための重要ポイントです。初診日の特定ができないと受給資格を満たせません。

例)
・初診の病院が廃院している
・初診の病院の最終受診が5年以上前でカルテが破棄されている
・初診の病院の前に他の医療機関の受診がある。

これにより不支給となることもありますが、第三者の証明を活用して受給できた事例もあります。

3-3. 障害等級に達していない

障害年金は障害の程度によって1級から3級の等級に区分され、それぞれ認定基準が設けられています。
申請した障害の状態が認定基準に達していないと判断された場合は不支給となります。

例)
・日常生活能力の制限が軽いと判断された
・就労状況から、障害による制限は軽いと判断された

障害年金は書類のみで審査され、診断書は書類審査の中でもっとも重要視されるものです。
「外出が困難」「対人関係が持てない」など、生活や就労に支障が出ている詳細を漏れなく医師へ伝え、具体的に書いてもらう必要があります。

3-4. 申請書類の不備

申請書類の不備について、以下のようなケースで申請が通らない事があります。

例)
・診断書の記載内容が不十分
・初診日を証明する資料が不足している

これらの手続き上の問題は、比較的解決しやすいので、再請求の際に適切に対処することで受給できる可能性は高まります。

4. 受給事例

不支給となっても、再請求や審査請求によって受給が認められた事例は多くあります。

4-1. 廃院で初診日証明が取得できなかったが他の方法で受給できた事例

初診日の病院が廃院していたり、カルテが廃棄されていて初診日の証明が取得できなくても、第三者の方の証明で認定が通ったケースがあります。

4-2.再請求

1回目の請求で不支給になっても、診断書の具体化や追加資料を添付して、再請求で認定された実例もあります。

5. 再請求・審査請求のポイント

不支給通知を受け取っても、正しく対処することで受給に結びつく場合もあります。具体的な再請求、審査請求のポイントをご紹介します。

5-1. 不支給通知が届いたら理由を確認

不支給の理由を把握しましょう。

5-2. 診断書依頼のポイント

日常生活で困っていることや就労への支障、就労時のサポート内容等について、詳細に例示して医師へ依頼しましょう。

5-3. 不服申立て

不服申立ては不支給を知った日から3ヶ月以内に請求をしなければなりません。

最後に

うつ病で今後の働き方や生活に不安を抱える方に向け、様々な制度を活用し、セルフチェックや専門家の助けを得ながら前向きに進むための道筋を解説しました。正しい知識と行動は、困難な状況からの再起への大きな一歩です。
制度や書類の複雑さから、一人で全てを乗り切るのは困難な場合もあります。経験豊富な社労士や相談機関をぜひ活用してください。

当事務所は、初回相談無料です。