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年金の未納があっても、障害年金は受給できる?保険料納付要件、学生納付特例について解説

障害年金を請求したいのに、未納期間があると請求できないのではと不安を感じる方も多いでしょう。
しかし、未納期間がある=「障害年金はもらえない」わけではありません。制度上の保険料納付要件には、具体的な基準と特例があります。この要件については、次のいずれかを1つが該当していれば大丈夫です。

保険料納付要件(いずれかを満たすこと)

  • 3分の2要件
    初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料が納付または免除されている期間が3分の2以上あること。
  • 直近1年要件(特例)
    初診日において65歳未満であり、初診日がある月の前々月までの1年間に、保険料の未納がないこと

どの程度の未納で障害年金が本当にもらえないのか

「1か月でも未納があれば絶対ダメ」というのは誤解です。重要なのは「全体の割合」又は「直近1年間の納付状況」です。
たとえば20歳から初診日の前々月までの加入期間が10年(120か月)あり、そのうち未納が20か月でも、残りが100か月納付済または免除であれば、3分の2要件(80か月以上)を満たしているため受給可能です。
ただし、保険料の納付や免除の申請が初診日より後の場合は、その期間は未納期間としてカウントされます。
もし、3分の2要件を満たしていなくても、直近1年間に未納がなければ請求が可能です。

学生納付特例の期間について

学生納付特例の期間についても解説します。学生納付特例とは、国民年金保険料の納付を猶予させる制度です。対象となるのは、前年の所得が基準以下の学生です。学生納付特例を申請していれば、保険料の納付がなくても免除期間として扱われるため、障害年金請求の際は受給資格期間として数えることができます。

  • 所得基準(申請者本人のみ)
    128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
  • 対象となる学生
    大学、大学院、高等学校、高等専門学校、専修学校に在学している方で夜間、定時制課程や通信課程も含みます。

初診日以後に申請した学生納付特例の期間は未納扱いになってしまうため、すみやかに申請することをおすすめします。

社会的治癒・相当因果関係による初診日の見直し

「初診日」のとらえ方次第で、障害年金を請求できることがあります。

社会的治癒

  • いったん症状が治まり、普通に生活できていた期間がある場合、再発後の初診日を新しい初診日として扱うことができます。
    これを、社会的治癒といい、必ずしも完治していなくても、医療行為を行う必要がなく、一般的な社会生活を送ることができる状態が、ある程度の期間に渡って継続できていることを認められる必要があります。
    社会的治癒はおおよそ5年程度で認められやすいですが、これはあくまで目安であり、明確な基準はありません。

相当因果関係

  • 複数の病気やケガが関係している場合、どの疾病またはケガを初診日にするかで判断が変わります。
    これを相当因果関係といい、前の疾病またはケガがなかったなら、後の疾病は起こらなかったと認められると、前後の疾病は同一傷病として扱われます。

相当因果関係の具体例

<相当因果関係ありの具体例>

糖尿病 糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性壊疽(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症)
糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、慢性腎炎 左記に罹患し、その後慢性腎不全を生じたもの(両者の期間が長いものでも可)
肝炎 肝硬変
結核(化学療法) 副作用としての聴力障害
手術等による輸血 肝炎を併発した場合
ステロイド投薬 副作用で大腿骨無腐性壊死が生じたことが明らかな場合
事故または脳血管疾患 左記による精神障害
肺疾患に罹患し手術 その後、呼吸不全が発生(肺手術と呼吸不全発生の期間が長いものであっても可)
転移性悪性新生物 原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたもの

<相当因果関係なしの具体例>

高血圧 脳内出血または脳梗塞
近視 黄斑部変性、網膜剥離または視神経萎縮
糖尿病 脳内出血または脳梗塞

 

専門家への相談の重要性

初診日が変われば、納付要件の計算期間も変わります。この整理は専門的なので、障害年金に詳しい社労士に相談するのが安心です。
一人では解決が難しい場合、早めに専門家へ相談するのがおすすめです。
「未納があるから無理」と思い込まず、一度専門家に確認してもらうことで、新たな可能性が見つかることもあります。

当事務所では、無料相談を承っております。障害年金に関する疑問や悩みについてお気軽にご相談ください。